節約生活と筋トレ生活の集大成。四国八十八か所霊場歩き遍路の旅。

「またあの旅にでられる。」

ささやかだけど壮大な、私の贅沢な時間。

去年から挑戦している「四国八十八か所霊場・歩き遍路の旅」。
私は“区切り打ち”という方法で、少しずつ歩みを進めています。

2024年は徳島県「発心の道場」を歩き切り、
今年の2月までには高知県「修行の道場」34番・種間寺までを打ち終えました。
今回の旅では、4月25日からの5日間で、
35番・清滝寺、36番・青龍寺、37番・岩本寺を経て、四万十市あたりまで歩く予定です。

お寺や史跡が好きな私は、30代の頃から車で八十八か所を巡っていました。
ある日、お寺とお寺の距離が短い区間を歩いてみたことがあり、
そのときに遍路道の魅力に惹かれ、「いつか歩いて巡りたい」と思うようになりました。

でも当時の私は、運動習慣もなく、ぎっくり腰の経験もあって体力に自信がありませんでした。
「歩き遍路をする体力をつけたい!」――
その思いが、筋トレ生活のスタートでした。

筋トレをするたびに「歩ける体をつくるんだ」と心に決めて、汗を流し、
日々の節約生活の中で旅の資金も少しずつ貯めてきました。
まさに「貯金」と「貯筋」の日々。

時間、お金、そして健康。
その3つがそろわないとできないこの旅は、私にとって最高の“贅沢体験”です。

「“贅沢”の所以。――歩き遍路にかかる時間とお金と、そして私の体験」


歩き遍路は「一番贅沢な旅」と言われることがあります。
それは派手さや豪華さの意味ではなく、「現代の私たちにとって最も手に入りにくいもの」を揃える旅だからです。

まずは時間
通し打ち(1番から88番まで一気に巡る方法)には、健脚でも35日、ゆっくり歩けば50日以上。
1か月以上、家を空けられる人がどれだけいるでしょう。
私は区切り打ちという方法で少しずつ進めていますが、それでも日数の確保には毎回工夫が必要です。2024年徳島編は2月に2泊3日、4月に4泊5日、10月に3泊4日の旅程で踏破しました。

次にお金
1泊あたりの宿泊費を安く見積もっても、1泊5,000円×35日=175,000円。
50日となれば250,000円。
交通費、食費、道具代などを含めると、決して安い旅ではありません。

巡礼スタイル 所要日数 費用の目安(総額) 特徴・ポイント
歩き遍路(通し打ち) 約35~50日 約25万~40万円以上 宿泊・食費・装備代など含む。時間と体力が必要。
歩き遍路(区切り打ち) 数年かけて断続的に 総額で30万~50万円程度(回数次第) 休日などを使って少しずつ。交通費の累積がやや増。
車遍路 約10~14日 約15万~30万円程度 宿泊代・ガソリン代・高速代が中心。計画次第で効率化可。
観光バス遍路 約10日(ツアー制) 約25万~35万円(ツアー料金) 食事・宿泊・案内込みのパッケージ。体力負担は少なめ。

トータルの費用を比較してみると歩き遍路の旅がお金も時間もかかる高コストな旅であることが分かります。

私のようにまだ働いている世代の人は有給と連休を組み合わせて時間を作って旅程を計画することで実行可能になります。また、「区切り打ち」で費用も「分割払い」できるので区切り打ちの方が旅費の工面がしやすいです。私の場合、1年間で一国参り(1年目・徳島県、二年目・高知県、3年目・愛媛県、四年目・香川県の4年計画)を予定しているので年間10数万円、トータルでは40万円超の旅費になりますが、「1年に13万円ぐらい」なので、一か月で1万数千円を工面すると考えるとできなくはないなと思えます。

(*ただし、自宅から打ち始めの場所までの交通費が別途にかかることになるので四国から遠くにお住いの方はどうしても交通費が割高となります。区切る回数が多ければ多いほど交通費がかさむことになります。)

そして健康
歩き遍路では1日に20~30㎞、時間にして6~8時間歩きます。体力がなければ、そもそも成り立たない旅です。

通し打ちでは最初の1週間くらいは長距離歩行に体が慣れず、筋肉痛に悩まされるそうですが、10日目ぐらいから歩くことに体が慣れてきてそれほど辛く感じないのだそうです。

とはいうものの、1日6時間、20㎞以上歩くなんて生活を日常生活でしている人はほとんどいません。途中で膝や腰に痛みが出るとき、足の裏にできたマメがつぶれて激痛ということもしばしば起こります。遍路をしている人の年齢は60歳以上の人が多く、アラフォーの私は「若手」です。50歳オーバーの体で歩き切るためには日頃からの運動習慣も重要になります。

4~5泊、1週間や10日前後で身体機能を一度リセットできる「区切り打ち」は中高年が無理なく旅を再開、続けられる方法ともいえます。

次の旅までの間、筋トレやハイキング、ウォーキングを習慣として「歩けるからだ」づくりを続けます。お遍路は帰ってからが色々な意味で「修行」です。
私は「歩ける体をつくるために」筋トレを始め、日々の生活習慣を見直しました。
健康も、日々の積み重ねで手に入れた“資産”です。


お金と時間と体力と自分に「ある」ものを再確認できる感謝の旅:

私は車遍路をしたこともありますし、バスや列車の旅も大好きです。区切ったスタート地点までは列車で行くのでそれもまたとても楽しい道中でした。乗り物を使った遍路旅の楽しさも知っているのですが、歩き遍路旅は「歩く速さでしか見つけられない、出会えないものにも出会える旅」なのです。

絵葉書にしたいような美しい景色に何度も出会います。

徳島の旅では岡檀さんの『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある』(講談社)や森川すいめいさんの『その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く』(青土社)を読んで知った「自殺稀少地域」である旧海部町を歩きました。そしてその地で宿を取り、地元の定食屋さんのオーナーとお話をしました。自殺稀少地域研究の第一人者である岡檀先生が調査に来た時のお話なども直接伺いました。皆さん「自殺で死ぬ人が少ない町」だということは意識していなかったようですが、研究で明らかになった今ではそのことを誇りに思っているようでした。

高知県室戸市の港町には昭和の室戸台風の被害を忘れないようにといくつもの碑が立てられているのを見ました。他にもかつては賑わいを見せていたであろう手入れのされなくなった遍路小屋跡をみて少子高齢化、過疎化の抗いがたい現実も目の当たりにしました。

災害の歴史や史跡は今を生きる私たちに「生き延びる術」を教えてくれる貴重なものです。今、私たちの暮らしが「ある」のは先人から受け継いだ歴史や知識のおかげです。

元気なおばあちゃんには会えず。

歩かないと見つけられなかった神社。車では何度もこの辺りは通っているのですが分からなかったです。「飛石神社」なんてまるでラピュタみたいですね。

そういう史跡や人との出会いは車で通りすぎるだけでは味わえない歩き遍路ならではの貴重な体験であり、私が歩き遍路に挑戦し続けたい理由の一つです。

出発前に旅の思い出整理に時間をかけてしまいました。

次回は、四万十市まで歩いた“高知、修行の道場編”をお届けします。
出会った人たちの言葉、見た風景、食べたもの――歩くことで分かる贅沢な時間を記録してきます。

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